【最新版】生成AIの課題TOP3

生成AIを企業内で活用する際の課題と対策

2022年にOpenAI社がChatGPTをリリースして以降、生成AIに対する注目度が非常に高くなっており、様々な場面で生成AIを活用する動きが増えてきています。

生成AIは非常に便利なツールである一方、企業内で活用するには様々なリスクや課題が存在しています。

今回は、生成AIを企業内で活用する際に生じるリスクや課題について、その内容と対策について解説します。

なお、生成AIは大きく、ChatGPT等の文章生成AIと、Stable Diffusion等の画像生成AIの2種類がありますが、ここでは文章生成AIについて取り上げます。

課題1:入力した文章が、モデルの再学習に利用される可能性がある

個人情報や機密情報を含む文章を生成AIに入力した場合、文章がモデルの再学習に利用されることにより、第三者が生成AIを利用したときの出力に個人情報や機密情報が含まれてしまい、情報漏洩に繋がるリスクがあります。

ChatGPTがリリースされたすぐの頃は、このリスクが非常に問題視されており、ChatGPTの業務利用を控えていた企業も多くありました。ただし現在は、ChatGPTの設定を変更することにより、モデルの再学習に利用されないようにすることが可能になっています。

他の生成AIサービスについても例えば、Microsoft社が提供しているAzure OpenAI Serviceや、Anthropic社が提供しているCluade2は、入出力された文章を再学習に利用しないことが利用規約等に明記されています。

このように、生成AIサービスに入力した文章がモデルの再学習に利用されるケースは少なくなっています。しかし、他の生成AIサービスでも同様に利用されないという保証はありませんので、新しく利用するサービスについては利用規約を必ず確認し、入力した文章がモデルの再学習に利用されないサービスを選ぶようにしましょう。

課題2:社内規定など、固有の情報を回答できない

生成AIが学習データとして利用しているのは、あるタイミングでインターネット上で収集したWebサイトの文章などです。そのため、最新のニュースなどについて生成AIに質問しても回答が得られません。
(※執筆時点では、ChatGPTのGPT-3.5モデルは2022年1月時点、GPT-4モデルは2023年4月時点までの情報が学習されています。)

最新のニュース以外にも、社内規定のようなインターネットに公開されていない情報は学習されていないので、自分の会社のルールを生成AIに質問しても、当然回答は得られません。

社内規定のような非公開の文書に基づくQAを実現したい場合は、生成AIとは別に外部ストレージを用意し、検索エンジンによる文書検索と組み合わせる方法が有効です。

検索エンジンには、AzureのAzure AI Search(2023年10月までの旧称:Azure Cognitive Search)のようなクラウドサービスを使うこともできますし、Meta社が提供しているFaissのようなオープンソースのライブラリを使用することもできます。

生成AIを文書検索と組み合わせて、

 ・生成AIに文書検索のための適切な検索ワードを生成させる。
 ・生成された検索ワードを用いて文書検索を行う。
 ・文書検索によって得られた文書の内容を生成AIに入力して、文書に基づく回答を生成させる。

といった仕組みを構築することにより、社内規定のような文書に基づく回答が得られるようになります。

課題3:生成AIを業務にどう活用すればよいか分からない

生成AIはこれまでのAIサービスとは一線を画した革新的なサービスであり、試しに使って遊んでみたことがある人は非常に多いと思います。ただし、生成AIを日常業務に活用している人はまだ少ないようです。
野村総合研究所が最近実施した調査(「ユーザ企業のIT活用実態調査(2023年)」)でも、生成AIの活用に関わる課題として、大手企業の約65%で「リテラシーやスキルの不足」、約39%で「自社が活用する具体的なメリット、効果が分からない」といった点を挙げており、業務活用に至るまでのハードルはまだ高い状況と言えそうです。

生成AIの良い使い方がまだ模索中であり、且つそれぞれの社員が多様な業務を行っているという状況の中で、画一的なユースケースを定義するのは困難です。
したがって、多くの社員が生成AIを活用できる環境を整備し、広くユースケースのアイデアを募るという方法が、現段階においては有効です。
勉強会などを開催して集まったユースケースを社員に還元し、活用する中で更に新しいアイデアを発掘するという好循環を生み出すことができれば、生成AIを様々な業務に活用できるようになり、生産性向上などの効果が期待できるようになります。

参考リンク:https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2023/cc/1128_1

まとめ

ここまで、ChatGPTなどの生成AIを業務に活用する際の課題と対策について紹介しました。
生成AIの業務活用にはまだまだ課題が多いというのが現状ではあり
ますが、この記事が皆様の生成AIの活用に向けた参考になれば幸いです。

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